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調達購買とテレビ番組『ほこたて』
人気テレビ番組『ほこたて』があります。お笑いコンビタカアンドトシが司
会を務め、大島優子さんや東野幸治さんが出演する番組です。簡単に説明し
ますと、「最強のドリル」対「最強の金属」等の対決を放送し、どちらが優
位かを決めるものです。たとえば、この例でいえば、「何にでも穴を空ける
ドリル」で「絶対に穴が空かない金属」に穴が空くかをトライするのですね。
一般人の私たちからすれば、ドリルと金属なんてものは、技術的な優劣はな
かなかわかりません。それを、テレビらしく視覚化した傑作番組です。
この番組は面白いと私は思います。しかし、気になるのが、出演者たちの自
信満々ぶりです。「絶対勝てます!」とか「俺の技術に勝てる奴は誰もいま
せん」とか。あるいはハッカー対セキュリティ会社の対決では「ウチのシス
テムは誰にも破られません」とか。もちろん、それはテレビの演出かもしれ
ません。それに、それだけ矜持がなければ番組に出演できないでしょう。
しかし、どうしても違和感を抱きます。たとえば、私だったら、自社システ
ムのセキュリティを担ってくれるとしたら「絶対大丈夫」と豪語するひとよ
りも、「絶対はありえない。ただ、こういう条件下であれば大丈夫だ」と語
ってくれる方を選びます。そしてそれが真摯な態度ではないかと私は思うの
です。
ちょっと話がそれます。たとえば「あなたが買っている価格はもっとも安価
ですか?」と訊かれて「はい、世界一です」と即答する調達・購買担当者は、
控えめにいっても、相当な馬鹿だと思います。確認しようがありません。
「こういう条件下では平均よりも低いでしょう」と述べるのがせいぜいだと
私は思います。
いまの自分がもっとも優れていると考えるのは止めたほうが良い。そう私は
思います。仮にそうであっても、より高みを目指す姿勢のみでひとは成長す
ると思うからです。
「勝てますかね?」と訊かれたら、「やってみなければわかりません」
が真摯な答えであるにもかかわらず、多くの場合は「そうじゃなくて、意気
込みを教えて下さい」と言われます。そのときに「勝ちたいと願う気持ちは、
実際の勝敗と関係がありません」などと答えると、日本人的には最悪です。
どうも、日本人は、こんなとき「絶対勝ちます! 応援してください! 勝
ったらこれまで育ててくれたお母さんに自分の姿を見せてあげたい」などと
いう型があります。
おそらく、多くのひとも、その型に縛られすぎて、自由な受け答えができな
くなっているのでしょう。しかし、と私は思うのです。意気込みよりも、ス
キルや技をもうちょっと学術的に解説してくれたほうが良いなと。そして、
テレビだけではなく、仕事の場でも、私は意気込みなんてものじゃなく、技
術や定量的・論理的内容を追求していきたいと思っています。
もうそろそろ、やる気とか意気込みとか勢いとか、そういうのやめませんか。
などとテレビ番組を見ながら考えていました。