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袂を分かつバイヤー
「個人的な見解が多分に含まれてはいますが、私はB社の方が優れていると思います」
本来私の職責でない案件だが、コメントを求められた。悩ましい諸事情を抱えた現行サプライヤーの選定に関してである。基本的に新規サプライヤーの開拓が任務の私には関係がないのであるが、なかなか決めきれない実情を憂う人から、新規サプライヤーの評価方法でスコアを出して欲しいと依頼を受けたもの。淡々と評価して、私はB社を選定した。
ところが、である。既存サプライヤーを担当するマネージャーから、私がメールを発信したすぐ後に同じ内容でメール。それもA社を選定するとの内容。偶然にもタイミングがほぼ重なってしまった。そして真逆の回答。別にけんかするつもりは無いし、私とそのマネージャーの個性の違いを考えれば当然の帰結と思えるメール。
サプライヤーを選定するのは至難の業だ。やり方によっては、どんな風にも結果を描くことができる。従い、バイヤーの意思が結果に大きく反映されるってこと。だから今回の二人の判断も、興味本位でなく興味深く詳細を語らなければならない。真逆の結果を示した理由はどこにあるのか?相手のキーとなる判断を、自分はどのように考えているのか?元々の判断基準となるサプライヤーに関する情報量は等しいか?等。まったく逆の判断だからこそ面白い。
サプライヤーを選定する際、人間だからどうしても好き嫌いが反映されてしまう。どんなにフェアーさを唱えても、この部分での影響をまったく排除することはできない。問題は、判断にともなった度合いに拠るのだ。主だった理由が「サプライヤーの営業マンと懇意にしているから」では、社内でも理解は得られないであろう。そして、そりゃ建前的に「これは、それぞれの判断基準による結果を数値化したフェアーな判断です」なんていったりするけど、これこそ評価する数値を確信を持って操作することもバイヤーなら可能だ。
こうやっていろいろ書いていると、選定のプロセスを明白にして、関連部門へ公開し、要すれば公開情報を元に説明することが重要だということがわかる。そういう観点では、今回のアクションは素晴らしい。これからどうなるかが、私自身とっても楽しみだ。