先輩の言葉に落ち込むバイヤー

先輩の言葉に落ち込むバイヤー

人生の先輩に電話で呼び出されて駆けつけると、そこにはいろいろな関係部門の先輩方が飲んでいた。厄介な場所に来たかな?なんて思いつつ、話の輪に入る。そしてしばらく他愛のない世間話が続き、仕事の話になって聞いた言葉がこれである。

「最近の資材ってさ、図面見ないよね?」

どういう事ですか?と聞きつつ、その通り!と思う自分がいる。そして話が続く。

「昔は・・・・・・俺が入社した頃はさ、図面書いて手配すると、必ず担当バイヤーから電話があったんだよね。それで、設計者としての意図を確認されるわけ。最初はわからない事だらけで、過去の実績を参考にして図面を何とか完成させるわけだよ。そんな感じだから、バイヤーからいろいろ質問されてもシドロモドロになってさ、逆にバイヤーから、その部品の持つ機能から必要な加工法を教えて貰ったりしたんだ。」

なるほど。バイヤーが設計者を育てたってことか。

「最近のバイヤーはさ~まず質問がないよね。図面見ているのかな~って思う。なんか言われたことだけをこなしている感じ?」

言いたいことは山ほどもあるけど、先輩なので一応神妙な顔で聞き入る。それは間違っていないし、今のバイヤーに不足していることを言い当てているからに他ならない。そして、別の先輩がこんな事も言う。

「営業とか、生産管理とかさ、結構若手が出てきているよ。無茶苦茶かも知れないけど、いろいろ考えた結果で、自分の意志で「おかしい!」って言える人間が育っている。でも、今の資材にそんな事いう若手がいる?なんか物足りないんだよね~なんか食って掛かられると、こっちも腹も立つけどさ、でもいろいろな言葉の中で一理ある部分もあるわけよ。百個の主張のうち、たったひとつかもしれないけどね。一個も見るべき部分がなくても、主張したって事実は残るじゃない?それがないよね、今の資材」

こなきゃ良かった、と思った。現状を言い当てているとしても、そう思った。今のバイヤーは、設計担当者の切磋琢磨の対象にはならないって事だ。その場所には、設計、品質保証、生産管理、アフターマーケットと、ある事業で結びついた懐かしい面々が集っていたが、資材部門からの参加はなかった。唯一、元バイヤーの私のみ。

二週間ほど前に、今回槍玉に挙げられた資材の面々と会う機会があった。皆疲れていた。なんとかかんとか、っていう資材費を半分にする活動とか、組織や仕組みを見直すプロジェクトが盛りだくさんらしい。どれもポジティブに捉えれば、面白そうな話ばかりだ。でも、残念ながら皆疲れていた。

詰まるところ、元気がない理由は「時間がない」である。不況による需要減で、固定費削減を目的とした徹底した労働時間の切り詰めが行われている。過去に散々サービス残業を黙認した過去を反省して、今度は徹底的な管理だ。いろいろな選択肢が狭められてゆく。

でもどこも同じだと思う。自分たちだけが悲劇のヒーロー/ヒロインになっても何も解決しない。今回の指摘はバイヤーにとって基本的なものだ。何とか踏ん張ってやって欲しいが・・・・・・。

「なんかさぁ~最近存在感もないんだよね~」

とどめの一言。三連休を目の前に、ちょっと落ち込んで見ることにする。自分に何ができるか?ってことで。

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