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餅を饅頭に変えるバイヤー
基本的には幸も不幸も突然やってくる。あ~あと一ヵ月後に、俺はとんでもなく不幸になるとか、びっくりするくらい幸せになるんだ~なんて会話は存在しない。未来がわかる・・・・・・そうだったらいいな~と思うこともあるけれど、先に起こることがわかってしまうのも面白くない。
そんなわけで、突然国内の新規サプライヤー採用が決まった。突然~とは、魅力的な提案を行っていたけれども、昨年半ばからの景気の落ち込みで計画が頓挫していたのだが、先を見越して見切り発車することをお客様が判断してくれたものだ。提案内容としては非常に素晴らしいものだったが、タイミングが悪いよね~今はお互い歯を食いしばって頑張りましょう~なんて、お互いを励ましあっていたところが一転、あたふたと最後の確認作業を行っている。
私のような産業系のバイヤーって、ともすると新規のサプライヤーをまったく開拓しなくても仕事ができてしまう、ある意味では奇妙な職業である。営業であれば、先輩から顧客を100%引き継いだとしても、新規開拓を実現させてナンボって部分があると思っている。私は、バイヤーも新しい可能性を見出すことが必要ではないかと思う。だって、今の日本は開業よりも廃業が多いのである。取引先の倒産に遭遇したことがない人は、ただ運がよいだけといっても過言ではない。そして、私は人が開拓したサプライヤーよりも、自分の目で、耳で、相手の工場へ足を運んで、最終的に取引が実現した、自分で開拓したといえるサプライヤーの方が好きである。だって、やっぱり何かを作り上げたという思い入れがあるから。
今回もまさに「突然」で、新規のサプライヤーとの取引開始の余韻を楽しむ時間なんてない。今まで散々音沙汰がなかったにもかかわらず、商談がまとまった途端に、今度は納期フォローだ。そしてこれからが正念場である。同じ日本という文化的な背景を持っていても、円滑なコミュニケーションは、最初は難しい。設計や、品証とのやり取りを上手にコントロールしなければ。魅力的な提案書・・・・・・絵に書いた餅を、リアルに甘さたっぷりの饅頭にしなければいけない。これはバイヤーの大きな使命でもある。
なんてこんなことを書いている中でも、新規サプライヤーの担当者からメールが入ってくる。今度はどんなハードルだろうか?なからず、超えてみせる!と心に誓うのだった。