飴と鞭を考えるバイヤー

飴と鞭を考えるバイヤー

最近あるアクションに伴って、一ヶ月間で20社近いサプライヤーを訪問した。こう書くと、われながらお疲れさん!とも言いたくなる。短期間にこれだけのサプライヤーめぐりをしたのは初めての経験であり、通常の訪問と違って実態に即した「相対比較」ができて、いつもとはかなり違った印象を得ることができた。毎日の様に西へ東へと移動してきたご褒美ともいえる。

訪問したサプライヤーすべてが私の担当ではない。よく知っているサプライヤーもあれば、今回初めて拝見したサプライヤーも有る。そんな中で感じた一番大きなものは、バイヤーのキャラクターの差が、見事にサプライヤーに根付いていることだ。同じような製品を扱っていても、担当バイヤーによって会社にある一定の傾向があるってこと。簡単に言えば、厳しいバイヤーは、管理の行き届いたサプライヤーを担当していて、ちょっとぬるいバイヤーは、やっぱりいろいろな面でぬるいサプライヤーを担当している。

断っておくが、厳しい方もぬるい方も、いずれも当然だが最低限の監査を行っており、基本的に品質面での差はないはず。納入状況を参照しても、目に見えてぬるい方の不良率が高いことはない。でも、生産プロセス全体を見回したときに、ぬるい方にはんっ?!と思う点が多数見受けられた。

厳しい、ぬるいは、鞭の入れ方と、飴のなめさせ方に違いがあるじゃないかと思っている。当然サプライヤーには、まっとうに事業を営んで、ある程度将来を見越した投資までできるような利益は確保して欲しいとは思っている。ただ、漫然と経営してもらっても困るし、ぼろ儲けをされてはバイヤーとしての責務が果たせない。今回訪問したサプライヤーは、すべて非上場の法人なので、サプライヤー管理の一環で提出してもらっている財務諸表にしても、どれほど信憑性があるかはわからない。でも、厳しいサプライヤーと、ぬるいサプライヤー、どちらの利益率が高いか?と言えば、厳しい方が高いのだ。この部分は数字で証明されている。これは、自分でそのような分析を行って、正直驚くべき結果だった。発注している単価の平均といえば、大きな差異は見出せない。こうなると、厳しい管理=利益の源ということができる。

ぬるいメーカーは・・・・・・はっきり言って、なんか甘えちゃっている。甘えさせたままでも、さして大きなデメリットもないのであるが、明らかに厳しい方とは違っている。発注側として、時間と労力を割いて提供している飴が、サプライヤーの利益に繋がっていないとは・・・・・・本当に興味深い結果だし、ビジネスの本質だし、人間の生き方の本筋をついている気がしている。

飴も使い方を気をつけないと・・・・・・そんなことを思いつつ、この分析データを社内にどうやって報告するか?に今、頭を悩ませている。

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