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購買関連本を読むバイヤー ~会社の電気はいちいち消すな
今月続けざまに二冊の購買本が発売された。
まず偉大なるバイヤー坂口先生の「会社の電気はいちいち消すな」である。
坂口先生の本には、いつも裏切られる。裏切られるとは、普通の期待は見透かされ、その際に上を、更なる高見を目指す姿勢が、本の中に満ちあふれ、毎回脱帽してしまうのだ。そして今回のこの本は、そんな印象を一層強く覚える。
今回の「会社の電気~」の中で語られている内容は「そうそう、言うとおり~」と言ってしまえばそれまでで、私には坂口先生が考えに考えた内容になっている。コスト削減にしたって巷ではいろいろな本があって、いろいろな手法がまことしやかに書かれている。でも、この本はさらに一歩つっこんで書いていると感じる。そこがこの本の非常に尊いと思う部分だ。
例えば「アウトソーシング」についての記述。確かに一般論でアウトソーシング=原価低減といった事を言う本は、今まで沢山読んできたし、話も聞いてきた。しかし、何でもかんでもただ外に出せば良いのか?と言えば、そうではない。坂口先生は、一読すれば「うんうん、そうだよな」とうなずける内容を書いているけど、アウトソーシングに関して、ここまで書いた本を読んだことがない。当たり前だけど、それをあえて書いて、正しく理解しているかどうかを確認できる、そんな内容になっていると思う。
本の冒頭では、いわゆる管理会計に関する知識を、平素に、そして坂口先生らしく紹介しながら、当たり前に語られてきた事についての解説や、本文中では「違和感」と表現しているが、普通に語られているセオリーを、さらにもう一度考えて、高い次元での理解を促している。これは後半の節約術100連発へと続く助走となるので、しっかり理解すべき部分だ。コストダウンを知りたかったのに、管理会計の知識はいらないよ、なんて思ったら、この本の魅力はわからない。なぜなら私は、企業におけるコスト削減とは、非常に作為的だと思っているからだ。しっかりした会計的な数字の押さえが無ければ、いくら安くなったか?がわからないのだ。とらえ方によっては、コストダウンはまったく行っていない、サプライヤーからの見積書通りに価格決定を行って、実は「ちょっと高いなぁ~」なんて思っているにもかかわらず、帳簿上だけでのコストダウンの実現は可能だ。そんなことを示唆する内容満載の本である。
そして、これまた偉大なるコンサルタントの野町先生の「調達・モノ買う仕事」だ。