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バイヤーが行う交渉とは?~心構え
交渉に関しては、いろいろな本が出ています。私もこの記事を書く為に、久々に交渉と名の付く本を手にとりました。
私自身、交渉をいかに行わないか?と言うことにはこだわっていません。実際価格交渉という場に遭遇しても、普通に話に乗ります。ですが、巷に溢れる交渉本をみると、ちょっと違和感を感じます。アメリカの有名大学で学ぶ交渉術とかね。
前回のブログでも書きましたが、置かれた状況を急転直下で好ましい状況へ転換させるなんてことは、絶対にできません。これは間違いないと思います。例えば交渉人なんて人を描く映画があります。人質をとってどこかに立てこもったり、誘拐した犯人と交渉する姿を描いたものです。あの映画に描かれる交渉と、バイヤーが行うであろう交渉は、まったく違うと思います。何が違うか?それは負けても良いか悪いかだと思います。
映画で描かれる交渉人は「今日は負けても良いか」なんて、絶対に思いません。彼らが狙うものは、百戦百勝です。なぜなら、一般的な良し悪しの基準から判断して、交渉相手の方が悪いからだし、何より人の命を背負っているからです。従い、非常に切迫感のある、スリル満点なストーリーが描かれる訳です。
普通のバイヤーだったら、価格交渉なんて日常茶飯事でしょう。普段から人の命みたいに重いものは背負っていません。第一、毎回あんな切迫感を感じていたら、疲れちゃってしょうがない。それに、バイヤーの交渉相手は悪人ではありません。自分が生きてゆくために選んだ職業で、自社の製品を売り込んでいる、どちらかと言えば善良な市民です。そして、バイヤーも普通の人です。普通の人と人の間で、間単には切迫感は生まれないでしょう。
バイヤーが行う交渉は、善良な市民同士が、自社の利益を確保するために行われるものです。交渉結果を「勝ち取った」と表現する人がいます。でも本当に勝ったのでしょうか?誰が勝ったことを証明するのでしょうか?勝ったかどうかなんてわからないもの、それがバイヤーの交渉です。でも、一生懸命に真剣に話をします。一生懸命さと真剣さの中に、相手への配慮と心遣いもあります。闇雲に「勝ち取ってやる」と臨む交渉に、相手へのリスペクトは有るでしょうか?私は、お互い勝たなかったけど負けた気もしない。バイヤーが交渉に求めるもの、それは納得だと思います。双方が納得するために一体何をすべきか考える。これがバイヤーの行う交渉であると言えます。しかしこの納得を得るには、茨の道が待っていると思います。