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サプライヤーに肩入れしたとき・・・ 1
資材調達の際に、自社に何らかのメリットをもたらすサプライヤーであれば、誰もがそのサプライヤーの肩を持つであろう。但し、そのもたらされるはずのメリットがまだ海のものとも山のものともわからないときに肩入れをするのは・・・ある意味その肩入れ状況によっては問題とも言える・・・そんなことを一度だけしたことがある。
そのサプライヤーは産業用の車両に搭載される機器・・・エンジンルーム内に配置される製品を作るZ社。当時の機種にはX社の製品が搭載されており、モデルが継続している中での転注ってのは大きなパワーが必要で・・・その製品は特にエンジンルーム内での取り合いが複雑で、その時点での転注は正直無理と言わざるを得ない状況であった。
当時、私の所属部門では積極的にサプライヤーのエンジニアと自社のエンジニアとの技術交流会を行っていた。その手のアクションには積極的だったZ社からは強く開催要望が寄せられていた。ただ現行機種での採用は難しいとの判断で、開催もなかなか実現しなかった。
やっとの思いで開催できた技術交流会でも、新しい技術のプレゼンもソコソコに現行機種での採用可能性の検証になった。無理か・・・と思ってしまった前提での開催であり、結論として現行機種では不可との見解が示されてしまった。商売では良くあること・・・だが、ビジネスの厳しさを目の当たりにした思いであった。その技術交流会から新機種の開発スタートまで約2年、Z社には参入のチャンスはなかった。但し新技術の紹介や、定期的な双方技術陣の交流と、Z社は採用されるかどうかわからない営業活動を地道に続けていた。
そして新機種開発のコンセプト、資材部門に対しては既存メーカーへの根拠無き優先的な情報提供は慎むとの方針が出され、私が担当する製品のみならず、全製品での新規サプライヤーを含めた技術的検討から始まる引き合い活動が行われた。当然、Z社もX社も同じ土俵で戦う事になった。
建前は素晴らしいものの、実態は引合活動も、購入価格や、製品性能に大きな影響を及ぼす部分から開始され、Z、X社に詳細条件が提示されるのは開発開始から約半年後のことであった。やっと提示された引き合い資料・・・仕様書、参考図面、各種標準類等々。私はその図面を見て、愕然とするのである。