海外調達のポジショニング

海外調達のポジショニング

最近バイヤーにとっても、日本国内のサプライヤーにとっても「海外調達」の位置づけが変わってきている気がしている。変わっている・・・というか、ある方向性を得たと言っても良いと思っている。

日本のサプライヤーにとって低賃金を武器とする海外調達は驚異となる。90年代半ばの1ドル=¥70台となった時代には、ハイパー円高を背景に私の勤務する資材でも声高に海外調達推進が叫ばれた。国内のサプライヤーにとっても「海外調達」との言葉に恐怖をお覚え、できる限りの合理化・効率化を進めて価格競争を行っていた。バイヤーにとっては一つの低減を引き出すフレーズとして「海外調達」という言葉が活用できた時代である。
その後、最終組立メーカーだけでなく、部品関連メーカーもこぞって海外進出を果たし、海外での生産についての現実を知ることになった。日本では当たり前の材料品質が、現地では確保できない。電気が頻繁に停電する。現場の工具が無くなるといった従業員のモラルの問題・・・海外での生産が一筋縄ではいかず、レート差=価格差にはならない事を知ったわけである。
最近では実感として「海外調達」という言葉に日本国内のサプライヤーが驚かなくなっているし、その言葉だけではコストダウンは引き出せなくなっている。頻繁に「競争するつもりはありません!」と、やれるものならやって見ろ!と言外に言われているのか?と思わされることもしばしばだ。製品品質や、アフターサービス、技術的な対応を考えると、海外調達は決して安価では無いとの現実が周知の事実となったが故である。
ではバイヤーはどうしたら良いのか?
元々日本はサプライヤーの技術的対応や、品質レベルが高く、高レベルに依存して最終製品メーカーが甘えている構図があるように思う。だからバイヤーがバカでもなんとか組立メーカーがやっていけるわけである。しかしサプライヤーが「やれるものなら・・・」と開き直っているとしたら、バイヤー自身がそのサプライヤーを見る目、不足点があればそこを補う意欲、熱意を持って海外サプライヤーを指導し日本のサプライヤーと対峙できるレベルまで引き揚げる覚悟が必要ではないかと思っている。その為にはバイヤー、調達部門のレベルアップは欠かせない。
日本という国はサプライヤーのレベルが高い故に、そのぬるま湯にどっぷりと浸かって、バイヤーのスキルが向上しないって構図はないだろうか?であれば、地道に少しずつ海外メーカーと本腰入れて付き合うことが、バイヤーにとっても大きなメリットとなると思うのである。

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