バイヤーにとって市場価格は存在するか

バイヤーにとって市場価格は存在するか

私はいつも考えています。実際に購入する製品に市場価格は存在するのかどうか。結論から言えば、一般的な市場価格のとらえ方と異なる市場価格の定義が重要です。

サプライヤーとバイヤー企業、売り買いの当事者が一組存在すれば、そこには市場があって、市場価格が存在します。したがって、市場価格が存在する。しかし、ここで述べる市場価格は、価格の妥当性を示す、誰が買っても同じであるという意味での市場価格ではありません。

サプライチェーン全体を見回したとき、川上で行なわれる売買に該当する原料・材料は、購入力の大小による違いはあっても、ほぼ同じ価格となる可能性が高くなります。しかし、より川下に位置する売買の場合、個々の当事者間によって価格は異なってきます。

事実、私は営業担当時代にまったく同一の製品を、かなり広い価格レンジで販売していました。もっとも安い販売価格を100とした場合、高い場合は200と倍の価格です。担当していた製品は、川下に位置する製品です。安い場合は、競合メーカーとの価格競争に勝つために安価な見積を作成し、高い場合は指名購入か、価格要素以外でのメリットを顧客が見いだしている場合です。

バイヤーが価格について指摘(多くの場合「高い」ですね)を受ける場合、ほぼすべてのバイヤーがおこなう言い訳は、購入量の問題です。購入量が少ないから、価格交渉が思うようにおこなえない。したがって高値の原因は、なんでもかんでも仕様を増やす設計担当者の責任だ!という具合です。しかし、もし量の多寡だけで価格が決定するのであれば、そもそもバイヤーの存在を否定しているとの同じです。

サプライヤーとの間に存在する市場で、どんな市場価格で決めるのか。それは、バイヤーが決定権を持っています。量の多寡を除いたところで、いかに良好な購入条件を引き出せるかが、ほんとうのバイヤーの優劣を決定しているのです。

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