交渉の本質~交渉相手との力関係

交渉の本質~交渉相手との力関係

バイヤー業務の根幹とも称される交渉。しかし、ほんとうに交渉が実践できる場合は、実はとても幸せかもしれません。

交渉する当事者間である程度「力の均衡」がない限り、交渉は成立しません。売り手にも買い手にも一方的に有利な状況である場合、一方的に要求を突きつけ、相手に受け入れさせるような状況は、交渉ではないのです。

したがって、自分の意向を相手に受け入れさせる場合、交渉力よりももっと大事な要素が存在します。私は当事者それぞれの立ち位置、ポジショニングと呼んでいます。例えば、こんな具体的な事例を考えてみます。

世界に1社しかないA社、A社にしか製造できない製品を購入しなければならない場合を想定します。月産10個しか生産できないにも関わらず、あなたと同じように欲しい企業が10社あって、それぞれ3個欲しいとします。この状況でA社との購入条件に関する交渉が成立するでしょうか。より良い条件をA社に提示する試行錯誤は行ないますし、A社ともいろいろな話をするかもしれませんが、おおよそ交渉とはほど遠い話です。あなたにどんなに素晴らしい交渉能力があったとしても、交渉当事者としてそもそも持っているポジショニングの発揮する力が大きすぎます。

しかし、あなたはA社から一つでも多くの製品を確保しなければなりません。この場合、少しでも良好な条件提示を行えるような関係性の構築をおこないます。交渉対象としてA社から認知してもらう。すなわち、交渉当事者としてA社に認めてもらうことが、まず重要になるのです。

実際に調達購買業務に携わっている場合は、このような現実に直面するケースは多いですよね。これは自分たちの購入者としての立場の弱さを認めることになります。調達購買部門としては非常に難しいことですが、弱さを認めることで始める新たな展開もあるのです。

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