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ステキなタイミング
不本意にも値上げ攻勢に押しまくられていたバイヤー達には、チャンスがやって来た。
円高、原油をはじめとする商品相場の下落。でもそれ以上に自分のところの製品の需要が落ちているから、会社幹部からの目は厳しい。張り切らざるを得ないシチュエーションである。
さて、そんな時期にあるお取引先の営業担当者が、値上げの話を持って来た。メーカーの出した値上げを要請する書面を携えて。そこにははっきりとした値上げの理由は記載されていない。
「済みませんが、この資料ではなんだか理由がわかりません。できるだけ詳細に値上げの理由が分かる書面をお持ち頂けませんか」と依頼しておく。すると数日後、またアポが入り、時系列にプロットされた製品の原価概要を見せてくれる。
汎用製品だったので、ここまで詳しい資料が出て来るとは予想していなかったため、ちょっとびっくりする。が、よく見て行くと原価が上昇した原因は殆ど一点にしぼられることが分かる。
なるほどなるほど。こいつはわかりやすい。「原価が上昇した理由は材料であるXXの市況上昇が原因ですよね?でもご存知のようにXXの価格は現在この資料のピーク時のおよそ半額まで暴落していますよ」と返す。
営業担当者は「やっぱり値上げは認められませんよねえ」とあきらめ顔である。メーカーは実は一番XXの価格が高騰した時点で値上げを打ち出しているのだが、浸透に時間をかけているうちに価格が暴落し、最悪(バイヤーには最高!)のタイミングで値上げ申し入れと相成ったのである。
相場の下落時にはこういう悲喜劇がおこりがちである。
そして私の頭の中では、坂本九の歌う、あの曲の歌詞がぐるぐる回っている。