「その数学が戦略を決める」

「その数学が戦略を決める」

つい先日、購買ネットワーク会のメーリングリスト上で、「バイヤーはいらない」なる過激な題名の一連の議論があった。
いろいろ派生した議論が巻き起こるのも、このメーリングリストの面白いところで、購買に携わる人間にはお薦めである。それはさておき、元々の議論の発端は、「ベテランバイヤーが下したソーシングの結果よりも、統計学者たちが回帰分析でソーシングを決定した方がマシな結果が出た」という論文があるとの紹介があったからである。
すなわちその論文は「だからバイヤーはいらない」という結論なのだが、それに賛否両論が巻き起こったというもの。
で、私はどちらに組するかというと、ここでは「バイヤーはいらない」という側に立ちたい。この場合、「バイヤー」の定義は従来の枠組みでのバイヤー(交渉術に長けているとか、調整がうまいとか、人情味があるとか、法律に詳しいとかいわゆる人文科学/社会科学系のバイヤー)とすれば良いかもしれない。
で、タイミングよくこの本が発売された。
ビジネス書は、拾い読みをしてあらすじだけ把握することも多い私だが、この本は丁寧に読む価値がある(それに面白い!)と認めたので、湛然に読んでいる。従ってまだ読書中なのだ。
題名から考えると、統計学万能主義を述べているように思えるかもしれないが、そんなことはない。でも序章の「絶対計算者たちの台頭」で、ワインの市場価格の予測の話を読むと、直感や官能にのみ頼って意思決定をすることが、如何に危ういことかがわかってもらえることと思う。お薦めの本である、と同時に文系バイヤー(私もだが)にとっては数学をもう一度勉強するモチベーションになると思う。

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