バイヤーが表舞台に立つ時代 ~ 正面から勝負してみる(2)

バイヤーが表舞台に立つ時代 ~ 正面から勝負してみる(2)

まだ、これを笑えるならいい。

悪質になると、次の3パターンが発生する。

(1)見積書自体を改ざんするようにサプライヤーに依頼する。

信じられないが、例えば80円のものがあれば、まず「お願いだから、日付変更して100円の見積もり持ってきて」なんてことをサプライヤーに言う。

そして、サプライヤーが数日前の日付で100円の見積もりを作成して持ってくる。するとバイヤーは、80円の見積もりを持って上司の前に行くのだ。

「これだけ下がりました」

そして20円分を自分の成果として報告するのだ。

(2)上司も自部門の業績を上げるために、コストダウンのカウントを緩くしている。

上司も、自部門のコストダウン%が必達として課されているものだから、ついつい甘くなってしまう。

ひどい人になると、「こんなに安いんだったら、原低カウントしとけよ」なんてことをいう。

もちろんこのような人の部門は見せかけと異なり、非常に高い買い物をしていることが多い。

(3)コストダウンの基準単価として「購買査定値」を使っている。

たしかに、交渉して安くなり、サプライヤーの努力分を評価するためにコストダウン協力値としてカウントしてあげる場合もある。

その際、基準として使われるのが、「購買査定値」なるものだったりする。

そして、類似品だといって他のメーカーのべらぼうに高いコストが基準で使われたりする。

・・・・

これらを購買・資材のコストダウン効果だ、と言っても全然意味がない。

それを真顔で報告されたときに、目の前の設計課長が怒鳴りだすのも当然だった。いや、いままでこの事実を知っていながら素通りしてきた今までの設計者たちがある意味「大人な態度だった」といってもいい。

これらの詐欺に対する私の回答はいたってシンプルだ。

(1)購入を開始してから1年間はコストダウン対象としてカウントしない。

全ての製品を購入開始1年後からのカウント対象とすることで、それ以後安くなった分はバイヤーの成果として評価する制度を創り上げること。

(2)製品分野ごとのコストダウン目標を別々に管理すること。

半導体のように毎年毎年自動的に下がる領域と、プレス部品のように中々下がらない領域を同じ%で管理している会社が多すぎる。

これらは今までの傾向を元に、正確に「このバイヤーが頑張ったから下がったのか」「単なる市場動向」なのかを判断する尺度を持つ。

・・・・
(1)(2)ともマネジメントの領域であり、これらはマネージャーの意識改革に期待したい。

バイヤーにしても、虚偽の成果などしても仕方ない、という認識を持つべきだ。

短期間に自分の評価が低かったとしても、純粋に下げたコストを自己認識することは大切だ。

それに、虚偽の報告など、今の会社でしか通じず、外に出たら何も通用しない。

どこでも通用する泥臭いことをやろう。

そして正面から勝負して、世界一になってみよう。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

mautic is open source marketing automation