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バイヤーが表舞台に立つ時代 ~ ゴミを拾う男たち(1)
「私の仕事はゴミ拾いです」
一体お前はなんなのか、と問われたときその男はこう答えた。
あまりにも妥当な表現ではあったが、隣で聞いていた入社3ヶ月目の新人には、少し早すぎた驚きだった。
朝早く来て、淡々と発注業務をこなし、モメ事には携わらず。
その新人には「こういう人もいるのだ」としか思っていなかった。しかし、6月のボーナスの査定を前に、そこの課長が、その社員のふがいなさに「一体お前はなんなのか」と問いただした。
「一体お前は何なのか」
その答えが「ゴミ拾いです」
課長はしばらくムスっとした様子のまま、立ち去っていった。
・・・・
隣にいた新人は、私だった。
「ゴミ拾い」のおじさんは、50歳になると同時に子会社に出向していった。肩書きは総務部長だったけれど、おそらく何でもよかったのだろう、と思った。
ただ、今思えば、この購買・資材業務は「ゴミ拾いです」とは、なんと逆説的に痛快なコトバだろうか。
無茶な納期、無茶な目標価格、不条理な問題処理。
この後も、自分の仕事を自虐的に「ゴミ拾いみたいなもんさ」というバイヤーを私は多く見てきた。
何が理想と違うのか?
思えば、営業と購買・資材だけが、会社の顔として社外と触れ合う部門ではなかったか?
その当然、がなぜ当然として機能しない何かがあるのか?