アナログでデジタルを超えよう(2)

アナログでデジタルを超えよう(2)

前述の上司の知恵、とはなんだったか。

それはバイヤーをコストダウンに積極的に向かわせる、モチベーション向上策にあったのだ。

だれかが、何%かのコストダウンを達成したとする。

あるいはだれかが、不可能だと思っていた納期を短縮したとする。

これが「当然」、と扱われる会社もある。それが仕事なんだから、それくらいやっても当たり前だ、ということだ。

しかし、それとは対照的にその成果を必要以上に喜びとして共有する組織体もある。

バイヤーが前向きになり、長期的に成果を上げることができるのは、当然後者だ。

そして、働きたい場はどちらか。もちろん後者である。

なぜならば、バイヤーという職業は、スキル以前のモチベーションや志、というものが重要になってこざるをえない職業だから、まずは前向きに仕事に取組ませる必要があるからだ。

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その知恵とは、働かせるためには、拍手と笑顔だけでよい、ということだ。

「よくやった。拍手だ」。

週に1回のミーティングで、常にその上司は、前週の出来事のうち、少しでも成果が上がったもの、努力の跡が見えるもの、を挙げて話した。

そして、一般論としてではなく、あくまでも具体的な部下の名前を一人あげて、「他の誰でもない、コイツがやってくれた。みんな拍手しよう」と言った。

笑顔でほめる。

そして、大きな拍手をする。それもわざとらしいくらい、本人が拍手をする。

この大きな拍手というのはものすごいものである。

拍手というものを使って、人を非難することはできない。

拍手というものを笑顔でする。

これだけで、部下はミーティングの終わったあとには、新たな熱意に燃えて仕事に取組むようになるのだ。

信じて、試しにやってみてほしい。

ヘタなコンサルタントを雇うよりも、ヘタな研修を部下に受けさせるよりも、数段成果の上がる方法だと思う。

そしてこの課長は高卒でありながら、東大卒の部下から「最高の人だ」と言われ、「どこかに異動なさるときは一緒に連れて行ってください」と慶応卒の部下から慕われるようになっていく。

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カイシャ、というものが本来の利益創出団体、という意味付けを遥かに超えて、個々の社員にまで影響を及ぼすものだと多くの論者は語る。

バイヤーは特に、自分の会社の看板を背負って日々コトバを語るので、そのカイシャの勢いやカラーを反映する存在とならざるを得ない。

私は多くの活き活きとしたバイヤーに会ったことがある。

そして同時に、疲れきったバイヤーにも多く会ったことがある。

カイシャの業績と、バイヤーの前向きさに相関関係がある、といえるまではデータを持ち合わせていない。

しかし、すべからくバイヤーはモチベーションを持って、自己の業務にあたっていく必要があるのだ。
「拍手でコストダウンを加速させよう」

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