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来年に向けて~これからバイヤー元年が始まる(2)
私は、あるとき世界トップ生産台数になろうとしている某自動車メーカーの購買マンと話したことがある。
彼らは購買主導で魅力的なコストダウンをしていた。
例えば、鋼板を買わねばならないとする。
仕様は2mm±0.1mmであること、とする。
海外サプライヤーの2mm±0.1mmよりも、日本サプライヤーの1.95±0.05mmのほうを選ぶべきだ、と彼はいった。
「海外メーカーは仕様通りにしか作れる技術はない。日本サプライヤーは普通にもっと厳しい交差のものを作れる。しかも、仕様の中にミートする製品を作れる(1.95±0.05mmとはつまり、1.90~2.00だから、仕様の2mm±0.1mmにミートしている)。それだったら供給も安定する日本のサプライヤーを選定すべき。しかも、海外自動車メーカーより少ない材料でたくさん車を作れるじゃないか」
しかも彼は続けていうのだった。
「こういう理論がしっかりしていれば、設計者も説得できる」と。
たった15分くらいの会話だったが、私は驚いた。
こういう購買が活躍できる世界もあるのだということ。
自分がいかに狭い世界にいたか、ということ。
自分の世界の狭さを知り、どれだけ世界が広いかを知ることの大切さ。
かなり大袈裟にいえば、こういうことがアタマを駆け巡った瞬間だったのだ。
しかも、方法しだいでは、今の職場でも何かを変えられる。
・・・・
たまたま私は数名の方に助けられた。
あのときああいうことをしていなければ出会うことができなかった、と思い出す人も少なくない。
私は、そういう優良企業のバイヤーに会いに行く機会を増やせ、といっているわけではない。
優良企業以外のバイヤーは能力が劣っているといいたいわけでもない。決してない。
今自分が属しているやり方が全てでも、ベストでもない、ということを少しでも確認してほしいといっているだけだ。
私は、「このままじゃだめだ」と思いながら、何もできないバイヤーに同情はしない。決して、同情もしない。
私は、しかし、そういう状況に置かれがちなバイヤーの姿を知っている、というだけだ。ボロボロにされているバイヤーを見ると、自然と自分の昔を思い出してしまう。
そして、バイヤーという職業を、各企業が調達革命を起こそうとしているまさに今、変えていけたらと思っている。
2006年。賛同者を強く期待して。
「バイヤーは会社を変えてみろ!!」