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女性を困らせる電子調達(1)
「何だったんですか、あれは。ねぇ。」
電話越しの女性はバイヤーに対して、ぼやきの声を発した。
その女性は、サプライヤーの営業マンの事務補助業務をやっている女性だった。
有能なアシスタントであり、可憐な女性。
その女性がバイヤーに対して、珍しく愚痴をこぼしてしまった。
バイヤーが依頼した資料を提出したあとに、全く同じ内容をバイヤーの属する設計者から何度も何度も質問を受けたからだ。
「そんなの購買の方に提出していますよ」と言っても、質問は今までの通り鳴り止まない。
「あの購買に提出した資料は一体どうなっちゃったの?」その女性は思った。
そしてある一線を超したときに、そのアシスタント女史は叫んでしまったのだ。
「ねぇ、あの作業ってなんだったの?ねぇ、教えてくださいよ」
バイヤーは何より女性を失望させたことに後悔した。
・・・・
このバイヤーは私だった。
原因は、そこから遡ること数ヶ月前のことだったと思う。
私が属する企業は、購買業務の電子化の一環として「標準部品の電子カタログ化」というのを始めた。
説明は簡単だ。
購買が標準部品を選定。そして、それらのカタログや最小ロットや価格を社内のイントラネットに掲載することになった。
私が担当していたのは半導体。異常な数があった。
「標準部品」と選定するにも、それぞれの部品は別の役割がある。Aという高性能部品が必ずしもBという部品を代替することが出来ない。
だから、私は会社の指示にしたがって、相当数の部品を「標準部品」として認定してしまった。
そして、多くのサプライヤーはその指示を受け、莫大な数の部品のカタログをPDF化し、価格をまとめ、ロット数をまとめ私に提出する羽目になってしまった。
サプライヤーのうち真面目な人ほど、その雑務に追われることになった。
そして、やっと無理矢理に完成させた社内webページ。設計者はそれを見て設計しだすはずだった。問い合わせも少なくなるはずだった。
しかし、結果は全く使われなかった。
設計者は誰も見なかった。私の業務は徒労に終わった。