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哀れバイヤーはどこに行く(2)
この世の中は反作用にあふれている。
もし業務で有効となる情報がほしければ、まず率先して情報を他者に提供しなければいけない。
もし他人に評価して欲しいのであれば、まず率先して他者を評価しなければいけない。
もし自分が成功したいのであれば、まず率先して自分の時間を無駄にしても他人の成功のお手伝いをしなければいけない。
自分が求められている役割は何か?
自分が他者にはない価値を認めてもらえるところは何か?
こういうことを知るためには、自分から情報を提供をしなければいけない。
私の場合、まず「このことなら何でも私に聞いてください」というのを言ってまわった。
そして社内webを勝手に改ざんし、自分だけのホームページを作ってサプライヤーレポートを開示続けた。
加えて、自分で作った業務ソフトを配布していった。
誰にも頼まれず、である。そのうち「専属のバイヤーになってくれ」と設計課長から頼まれ、外の会社からも1年で3回誘われた。入社2年目のことである。
情報を提供し続けることは、「他者へ情報を与える価値のあるもの」を日々吟味するという試みにほかならない。
そして、その過程で自分の市場価値を冷静に見つめることができる。いや、その過程の中でしかできない。
定年間近になって、突然自分の価値を高めようとしてもできるものか。
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一つ、私は「スキル」というものを選別する基準を持っている。
「どのレベルまでいけば、スキルと自認してよいのだろうか」と自問した結果考えついたのは次のようなことだ。
素人が2年間必死で努力しても追いつけない技術。
これを、スキルというものの一つの基準と考えてよいと思う。
例えば、あなたが入社4年目だとして、自答してほしい。
「自分がやっていることは、新人が必死に休みもせず努力しても追いつけないことだろうか?」と。
多くの場合、「そこまで必死にやられたら追いつかれるかもしれないな」と思うかもしれない。
その場合は、その人のスキルはゼロ、ということになる。
では、必死で追い越そうとする後輩がいたとして、「何を伸ばせば、追いつかれないですむか」ということを考えるキッカケにもなる。
(ちなみに、私が知っている人たちでも定年後に他の会社で通用している割合は、技術屋出身の方が多かったことは付け加えておく)
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そして、同時に安心してほしいことは、多くの場合あなたが2年間必死に必死に頑張っても追いつけない先輩などほとんどいない、という事実だ。
おそらく、業務に仮説と熱意を持って取り組めば、大先輩を超すことなど簡単だ。
極論を言えば、3日でいい。
自分が特化していきたいジャンルの本を3日勉強する。
誰もが曖昧にして過ごしてきたジャンルを3日間集中して勉強する。
それだけで確実にあなたのまわりでは一番になれるだろう。
半年続ければ、日本一にだってなれる。これは本当である。
例えば、商法のことなど誰もがある程度知っているが、簡単な概要本でも読んだことがある人はどれだけいるだろうか?あるいは、あなたが買っている部材の本でもいい。専門的な解説書を3日間分読んだことがある人がどれだけいるだろうか?
そういう本を読めば、まわりがいかに最初のレベルの話をしているかが分かるだろう。そして、自分が知らなかったゆえに、まわりがすごく見えていただけ、ということに気付くだろう。
あなたが市場価値を高めるには、一点でよいので専門家になることだ。
そして、その点数を増やしていくことで、会社にしがみつかないでいい立場に身を置くことだ。
自己の価値を考えずに過ごしてきた人は哀しい。
しかし、考えなければ無価値になるとどこかで分かっていながら、今日を昨日と同じように過ごしてしまうことはもっと哀しい。
「バイヤーは、一点突破で世界一になってみろ!!」