バイヤーという戦場にかける恥(3)

バイヤーという戦場にかける恥(3)

一体、このような非礼な常識をわきまえぬバイヤーに対して、どれだけの接待費用が計上されてきただろうか。

そして、一体どれだけの無駄な接待が日本中で行われているだろうか。

ある評論家は「アメリカの訴訟費用と日本の接待費用はほぼ同額だ」と言った。確かにそのように日本人が曖昧な癒着体質で問題をスムーズに解決している側面はあるだろう。

しかし、と私は思うのだ。

バイヤーは接待を期待してはいけないし、それを「面白い」と思ってもいけない。

私など、高級な食事を用意いただいても、それが美味しいと判断する能力を持ち合わせていないことは、逆説的にバイヤーの能力だと思っている。

つまり、食事などはどうでもいいのであり、それを強いてサプライヤーに求めることなどしない。

私が営業マンに求めているのは、特別なことではない。ただただ、こちらの要求の処理を早く速くしてほしいのであり、ロジックある交渉をしてほしいのであり、それ以外ではない。

現在、一部の学生の間で企業の購買部門の人気が高まっているようだが、接待が「あるのか」と質問などしてはいけない。期待などしてはいけない。

もっと近代的な手法で、サプライヤーとの関係を保ってほしいし、そうすべきではないか。

私が入社一年目のとき、知り合いのバイヤーから「この前の接待のとき、あのメーカーの女の子が営業マンと来てて、二次会は二人だけで抜け出したよ」という話を再三聞かされてウンザリした記憶がある。それこそ、営業マンの思うツボではないか。

ちなみに私は過剰接待を受けたために解雇された人間を二人、サプライヤー企業の女性を不本意な妊娠に追い込んだ例を二人知っている。

加えて、某半導体企業が接待だけのためにやってくる女性を雇っていることも知っている。ちなみに、私もその企業の「接待要員」女性を知っているが、美人だとは思わなかった。

これをモテない男性のぼやきと言うなら言え。

・・・・

いや、別に自由恋愛を否定する気などない。ただ言えることは、そのような手に引っかかったバイヤーと、あくまで厳粛な業務を行ってきたバイヤーとでは、結果が違うのだ。

厳粛な業務を行ったバイヤーが明らかに最終的な結果が良いのだ。

これを数値化する技量など私にはない。

ただ、言えることは、そのような厳粛な業務の過程で「誤魔化しがこの人には効かない」と営業マンに思わせることが、長期的なコスト抑制には大きな役に立つということだ。

これはどんなに強調しても強調しすぎることはない。

これはバイヤーの生き方の問題かもしれない。どちらがよいという問題ではないかもしれない。

だが、たかがたまたま配属された業務で、その立場をある意味利用して短期的な蜜を吸うなどむなしい、と私などは思う。

そして、日本人的な接待のしがらみを超えたところで成績が残せたときに、そのバイヤーの実績の重みが変わる。

「バイヤーは、接待文化を壊して、営業マンを変えてみろ!!」

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