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定年退職者とバイヤーと(2)
もう一人の私を叱ってくれた大先輩は、定年後も魅力的であり続けている。
現役時代は、外国に一人で行かされて現地法人のIPO(=International Purchasing Office)の立ち上げをやった。「どうやったら、外国でIPOなど作ることができるのか」など誰も教えてくれない時代だ。
そもそも外国への出張規定もなかった時代に、「既に進出していた関係会社の商社へのお土産へ」と明太子を多量に買って行き、税関で没収された思い出などは感動なしには聞くことができない。
無からのサプライヤー開拓。納入システムの構築。いくつものケンカ。相次ぐトラブル。
これらは働き始めたときに「有」を与えられた若手では決して経験できないことである。
普段は静かに、しかし熱い人たち。
完全に何もないところから現在の購買を形作ってきた人たちの強さからは本当に学ぶべきところがある。
経験と判断力は加齢と共に上がっていく。これにおそらく例外はない。
普段は年長者に対して否定的な言説を繰り返し、無礼な物言いをする私であっても、今60歳近くの方々の持つある種の「いさぎよさ」と「常識感覚」と「たくましさ」からは多くを学んだ。
彼らの多くが取ろうとする手法は確かに、私の考える「新しい購買」とは違う。しかし、その購買様式よりも、生き様に学ぶところはある。
そして、今多くの能力の一部しか伝達せず、しかも若手も受け取ろうとせずに、多くの定年退職者が発生しようとしている。
・・・・
2007年にはGOLD RUSHではなく、OLD RUSHがやってくる(=定年退職者の急増)。
まだ遅くはない。
若手は意を決し、これまで話さなかった老年者から何かを引き出せ。
老年者は意を決し、若手に堂々と説教を垂れろ。
全てを失ったあとで、無から有を作り上げた経験からくる、本物の説教が聞きたい。
貧しい時代に無から現在を作り上げた、今の起業ブームの先駆者とも言ってよい華麗な戦歴から得た貴重な教訓と失敗談を聞きたい。
そして若手はそれらの教訓と失敗談から新たな購買像を作り出せ。
本物の説教とは、たんなる昔話ではなく、新たな一歩を踏み出すための原動力になるに違いないから。
「バイヤーはジジイの経験を買ってみろ!!」