無能なバイヤー、有能なバイヤー(2)

無能なバイヤー、有能なバイヤー(2)

とはいえ、だ。

管理職は言うだろう。「そんなにたいしたことねぇだろ、そういうバイヤーの実力なんて」と。

いや、確かにそうなのだ。

矛盾するようだが、そういうことが多いのだ。

評価は常に間違う。100人中100人を満足させる評価システムなどない。だから、評価にはいつもいつも不満が伴う。

それに、だ。

パレートの法則よろしく、本当は「優秀な人は20%、普通の人は80%」にもかかわらず、「80%の人が『自分は優秀』と思っている」というのが実情だからだ。

長老の養老孟司氏が「バカの壁」をあれほどヒットさせたのに、読者のほとんどが「なるほどなぁ、こういうバカってたくさんいるよな」と、「自分のことをバカだ」とはほとんど思わなかったという事実に、それは裏付けられている。

常に、他者評価と自己評価は差異を産む。

それが、「売り上げ」などという分かりやすい尺度ではなく、「コストダウン額」などという恣意的な尺度だけで計られるバイヤーであればなおさらである。

その偉大な尺度は、「いかに自分が安く買っているか」などというバカげたことを血眼になって証明するという「優秀な」バイヤーを量産させることになる。

そして、そういうバイヤーを好評価してしまうという循環を完成させてしまう。

・・・・

実は、「評価に恵まれないバイヤー」たちから数多くのメールを頂いてきた。

それに対する私の回答は明確である。

「会社からの評価は間違っている。だが、間違っていない可能性もある。とりあえず、市場で試してみたら?」ということだ。

評価が間違いであるというのなら、自分でその誤りを証明するしかない。

自分で、自分自身をどれだけ市場価値がつくかを証明するしかない。

難しい話?

いや、そうではない。

いまではプロが自分の市場価値を無料で診断してくれる。しかも、自分の考えを発せば、どれだけでも反応してくれるメディアもある。

独立した人には笑われるかもしれないが、まずは月に一万円を目指すこと--これである(あるいは、年収診断で600万円を目指すこと、である)。

仕事をしながら、自分の知識だけで月に一万円を稼げるか?これがまずは自分の実力がいかほどのものか、ということの試金石になると思う。

バイヤーというものを発揮し、自分が社会に対して何ができるか?

バイヤーという立場で社会にいかなる価値を提供できるか。

そういうことを、月に一万円という制約は優しく厳しく教えてくれる。

「会社はわかってくれない」と叫ぶだけで解決するのであれば一万回でも叫んでいればいい。

「バイヤーは会社からの評価を追い越せ!」

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