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このつまらない仕事をやめたらぼくらは本当に幸せになるのだろうか?(2)
あるとき--、本当にあるとき。私はこの悩みがなくなった。
それは納期をフォローする業務が全くなくなった、ということである。
いや、別に完璧なSCMを作り上げて会社全体で納期問題がなくなったわけではない。単純に、コスト部隊と納期部隊に分かれたのだ。
私は、正直「納期を考えないでいいなんて、なんてラクだろう」と感じた。
営業マンもコスト専属と納期専属に分かれることになった。かくして、私の納期との闘いは終了した。
「これでは答えではない」という人もいるだろう。
確かに、万人に対する答えではない。
しかし、コスト部隊と納期部隊に分かれたということで私の業務が改善したのも事実だ。 いいか悪いかは別として、納期のことでコストアップを認めようという気持ちもなくなった。
少なからぬ企業ではコスト部隊と納期部隊を分けている。これは情状酌量を認めないとともに、それぞれの業務に特化させるためだ。
たいてい「納期だけ追いかける業務は苦しいのではないか」という疑問が呈され「その疑問自体が納期業務を軽視している証拠だ」という返答がなされる。
私は納期フォロー業務は大切だと思うし、仕事として高貴なものであるとも思う。
だが、正直私にはツラいし、したくない。こういう本音は普通は「許されない」とされるが、本当のことだから仕方がない。
ただ、言えることは、カネだけに関わりたいのか、納期にもトータルで関わりたいのかどちらを選択するにせよそれはバイヤー個人としてどう生きていくかの話である。
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ただ、若干これまで書いてきたことと反するようだが、これまで会ってきた購買マンで優秀な人は例外なく「コスト業務にも納期業務にも従事している人」だった。
おそらく、どうしようもない不遇と矛盾の中で自己を鍛えてきたためだろう。
緊急手配によってコストアップを避けるためには、もちろん一案目は全社的な生産計画を厳格化することである。
しかし、そのような正論だけを叫んでも上手くいくはずはない。
二案目はコスト部隊と納期部隊を分けることだ。
しかし、会社的にそれも不能であれば、まずは納期とコストをできるだけクールに頭の中でスイッチし物事に当たることだ。
その矛盾にまみれたどうしようもない惨めな業務は、必ずバイヤーのもとに「成長」という名の贈り物をくれるだろう。
そもそも矛盾があるからバイヤーが存在する。
システムは必ず障害を引き起こしてくれるものだが、矛盾や問題がなければ、バイヤーなど必要ない。
そのときに大事なのは、自己に対する質問力である。
「この惨めな業務は自分にとって何にもならないのではないか?」という疑問を呈せばその通りの現実が待っている。
「自分はこの惨めな業務の中から、どのような大成長を遂げるのか?」と幾度も問えばその通りの現実が待っている。
もし悲惨な業務の中で学んだことを書き留めていれば、数年後にはその気づきは間違いなく100万円で売れる。
これは絶対に本当である。
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そして、もう一つ非常に面白いことなのだが--。
あれだけ「納期を追いかけるのは大変だ」「ツラい」といっていたバイヤーたちが、実際にコストだけを管理するようになるとする。
そしてしばらく経つと、必ず「モノを追いかけていた方が面白かったなぁ」と言うのである。
「納入なんて止めてやる」なんてことを言われながら、現場で汗をかきながら交渉していた日々。
そういうものに正面からぶつかりたい、どうしようもなく直接性を持つ業務がバイヤーにはどこまでも必要なのだ。本当は。
「バイヤーはドロドロの現状をドMに喜べ!」