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イヤなバイヤーと高貴なバイヤーの臨界点(2)
私の会社は運良く(?)サプライヤーに常識外の費用請求をしないように落ち着いた。
ところで面白いのは、前述の全てをサプライヤーに請求する企業の話だ。
ここを担当した営業マンからは、その企業の悪口しか聞かなかった。
「『すぐ持ってこい』とか『何やってんだ』とか。あそこの購買さんは人をバカにしている」から始まって「設計さんもすごく機械的な対応で、厳しいことばかり」らしく、「あそこを担当したら神経が磨り減りますよ」とのことだった。
もちろん、他社の悪口を語る営業マンもどうかと思うが、それは本音の現われだったに違いない。
何が面白かったかというと、その後だ。
最近、その企業の不振が報じられていた。
こうなると周りは冷たい。
景気の良いときはよいが、悪くなった瞬間にその企業は協力者を得られなくなったようだ。
久々にそこを担当していた営業マンに会うと「あんなところ助ける業者なんていませんよ」とだけ吐き捨てた。
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ここまで書いて私はサプライヤーとの馴れ合いをよしとするのではない。
もちろん、ときには数字に基づいたジャッジと、強い要求をせねばならないときもある。
しかし、相手の言い分も聞かず、こちらが正義ということを少しも疑わずに不条理な請求ばかりを繰り返していると必ず綻びが生じる。
特に、調子のいい企業のバイヤーは注意が必要だ。
誰からも批判される機会に恵まれず、自社のやり方だけを正とし、加えて周囲の意見を聞くことができない人は莫迦(ばか)に見える。
組織の中の一つのやり方に固執しているうちに社会は変化していくことに気づかなくなってしまう。
「これがウチのやり方だ」といって憚らない人には、「たまには自分がやっていることが本当はどうしようもなくバカげたことかもしれない、と疑ってみたら」と皮肉を申し上げるしかない。
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バイヤーは社内と社外をつなぐ、コミュニケーション部隊だという。
中間にいる人々には、社内と社外の愚劣なところと醜いところが一番良く見える。
ときには社内の常識はずれの意見を一蹴し、社外へ発信する。ときにはサプライヤーから新鮮な情報を仕入れ、社内へ新たな息吹を入れる。
この能力獲得は難しいものではない。
ただただ、普通のアタマで考えて「おかしい」と思うものには異を唱え、「もっとこうやったらいい」と思うものには例え「会社の常識」から逸脱したものでも提案してみる。
こういうことを繰り返せばいいだけだからだ。
昨今、購買にまつわる難しい「カタカナ用語」がたくさん出てきたが、もっと重要なのは「常識の復権」ではないか、とよく思う。
「バイヤーは会社に染まらず自己の感覚を頼れ!!」