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購買批評序曲(2)
あるコンサルタントの「そうであれば、現実がおかしい」という発言を耳にしたことがある。
しかし、100人中一人だけが正常で、99人が狂っている、ということはありえない。一人だけが「現実がおかしい」と叫んでもどうしようもない。
それは言葉の定義上、その一人だけが「狂っている」とされる。
最も賢者的な言説と愚者的な言説は表裏一体なのである。
もちろん、その状況がそのままでよいかどうかは別の問題である。
では、ゴネ得(理由なきコストダウン)を求められたら、どうするか。
それはゴネて撤回させるしかない。ゴネにはゴネでしか対抗できないからだ。
自分で言うのもなんだが、普段の私はかなり礼儀正しい。
しかし、「これは異を唱えばならぬ」ときは異常な態度に出る。
前述の例のときは、もちろん、全力でゴネ・コストダウン依頼は断った。狂ったように言い争ったが、断った。
それは、信頼を得ると同時に「ヘタなことを言えば、とんでもないことが起こる」と相手に思わせるためだ。
おそらく、そのような存在を感じてもらうことがなければ、バイヤーは関係部署と皮相的な関係に終るだけではないだろうか。
バイヤーは一つの駒として、歯車にされるだけではないだろうか。
・・・・
コストが高いことを自慢してはいけない。
もちろん、それをいかに下げるか、という一点のみでバイヤーの神経は集中されるべきものだ。
しかし、である。
これ以上下がらないコスト(現実)を否定してまで、自分を貶めることはない。
ゴネ得期待の要求を引き受ける必要はない。
そのときは至らなさを実直に認め、その上できっぱりと要求を拒否するだけだ。
明確に拒否できる、という選択肢を持たないイエスマンのバイヤーだけならば、そもそも会議やコミュニケーションの必要すらない。
そして、もちろん要求を拒否できる、ということは自己の購買を極限まで考え、周囲が認めるほどに邁進してきた、という事実がなければ説得性など持ち得ない。
ただただ現状にグチを言うのが仕事ではない。
仕事をするということは、極限まで思考し、行動し、その果てに新たな自分を見ることだ、と私は思う。
「バイヤーは自信を持って『このコストが最安値だ!』と言え!!」