文化ギャップと人間理解(1)

文化ギャップと人間理解(1)

「文字が読めないんですか?」

バイヤーはサプライヤーからそう言われ驚いた。

国際電話。中国のサプライヤーから。しかも、相手はどうやら皮肉ではなく、本気で言っているらしい。

「文字が読めない?」そんなはずはない。日本人は初等教育で文字を読む訓練は受けている。中国ほど格差化社会ではない。

しかも、英語だってたいていの日本人は10年ほど教育を受けている。

それなのに、中国のサプライヤーから莫迦(ばか)にされる。

バイヤーは何事かと思った。注文する側が、それほど罵倒されることはない。

有難がってもらってもいいくらいだ。

バイヤーは、「言っている意味が分からないので、文盲にも分かるように教えてくれ(大意)」と応答した。

話しているサプライヤーは、女性だった。その営業ウーマンは、たどたどしい日本語でこう語った。

「最低ロット1,000個と書いているでしょう。なのに発注は300個。だから、文章を理解できないと思いました」と。

そんなことはない、と思いバイヤーは見積り書を見てみた。

確かに書いてあった。超極小の文字で。

営業ウーマンはまだ言っていた。

「まだ分からない?文章分かりますか?」と。

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