・YouTube狂想曲

今回は尖閣ビデオ問題について話します。

うそうそ。

あのようなきわめて政治的な話を語るつもりはありません。そもそも私が報道を見るに、漏れている観点は次のとおりです。

1.YouTubeを隠れ蓑にしてテレビなどの旧来メディアがそのまま画像を垂れ流すことこそ問題にすべきではないのか。あの流出画像に機密性があるというのであれば、それを横流しすることこそ問われるべき。

2.あのビデオに関わる費用はすべて税金で賄われているという事実を忘れるべきではない。基本的には国民に見る権利があることは失念しないほうが良い。外交上の機密文章であっても、期間を過ぎれば国民がアクセスできる(たとえばアメリカを見よ)国があるのに、日本では「機密は機密」という雰囲気が充満している。

ということでしょうか。繰り返し、この問題について突っ込んで述べるつもりはありません。

ところで驚いたのは、いまさら旧来メディアが、視聴者に対してYouTubeの詳しい説明を繰り返していたことでした。「YouTubeというのは、一般人が画像をアップロードできるサイトです」から始まり、「違法画像もたくさん収められています」だって。

知ってるよ、そんなこと。

いまでは誰だって。ある番組では、YouTubeにアップロードする方法を詳しく説明していました。まるで私は、メディアがYouTubeに画像をアップロードしてほしいと視聴者に呼びかけているように思えたほどです。

・尖閣問題と結婚問題

しかし、それよりも私の気を惹いたのは、その尖閣ビデオ問題の次に流れた、小倉優子さんの結婚問題でした。尖閣問題の次にアイドルの結婚話題。かつて「ルイヴィトンとと岩波文庫は等価になる」と予想したのは田中康夫さんでした。まさにその予言通り、政治問題と芸能問題は同じレベルとして扱われて、娯楽として消費されるだけなのですね。

さて、そのとき小倉さんに芸能レポーターが意地悪な質問をしていました。「彼が浮気しているそうですね。でも、それを許したんでしょう」と。お祝いのときにもこのような意地悪な質問をせねばならないレポーターに、私はなることはできないでしょう。ただ、番組のためにはしかたがないのでしょうね。小倉さんは「いやいや、それは前の彼が浮気をしたことがあって、それを許したんです」と答えていました。

私は小倉優子さんと何度かお会いしたことがあり、画面から受ける印象のままの「優しく」「可憐」な感じの方です。その小倉さんに対して、ワイドショー番組では、メル・ギブソンの浮気報道などと関連付けて話されていました。それにしても、人びとが浮気とか恋愛について語るときの、あの嬉々とした表情はなんなのでしょうね。

冒頭の尖閣問題で、YouTubeという新たなメディアが利用されたことを書きました。そこで、私が次に書いたのは小倉優子さんの結婚の話。この話ははたしてつながるのか。

私は妙な連関を見ます。

これまでほとんどのメディアが発展した一つの理由は「欲望産業が火をつけたから」でした。VHSとベータ戦争でVHSが勝利したのは、「VHSのほうがアダルトビデオの本数が多かったからだ」という専門家もいます(ほんとう)。アダルトビデオ監督として有名だった代々木忠さんをVHS側は仲間にし、一気にVHSのタイトル数を増加させました。技術的な問題もあったとはいえ、要因は国民の欲望を抉った側が勝利したということです。もちろん、私はアダルトビデオだけがVHS勝利の要因といいたいわけではありませんので、誤解なさいませんように。

ただ、YouTubeのような動画アップも、もとはアダルト画像をアップロードするサイトが爆発的に広まったことを嚆矢としました。私は完全にこの意見に賛成するわけではありませんけれど、職場のe-mail利用が広がった一番の理由は「社内浮気ができるからだ」という人もいます。そういえば、以前、職場の女性のアプリケーションのアップデートを助けたときに送信ボックスを見ていたら、彼氏(?)に向けたラブメールばかりだったな。

・メディアの進化

メディアの進化のすべてが欲望に基づいているわけではありません。でも、欲望に基づくものは進化しやすいのですよね。

たとえば欲望でわかりやすいのは、「恋愛」です。たとえば、浮気なども欲望の一つでしょう。誤解してほしくないのですが、私は浮気などというものはしません。それに、勧める気もありません。ただ、このようなサービスが次々に出てきました。

1.「NTTドコモの2in1」サービス

→これは一つの携帯電話を使って、もう一つの電話番号と、もう一つのメールアドレスを持つものです。しかも、モードを切り替えておけば、もう一つ側の電話番号にかかってきたとしてもピクリともしません。これを使って浮気(奥さんと愛人に別の番号を知らせておく)する人がいるそうです。こんなニーズもあるのですね。

2.「アリバイメール」サービス

→これは指定時間になったらメールを配信してくれるものです。定型文と自由文があり、自由文を利用しようとすれば315円/月の利用料がかかります。「鬼上司から飲みにさそわれちゃって」と言い訳するためのものですね。そんなメールを受信したあとに愛人のもとに向かうのでしょうか。それは想像するしかありませんが。

3.「mail-i.com」

→このなかで好評なのが(笑)、「消えるメール」だそうです。同僚や彼女や愛人から届く「あやうい」メールを消し忘れて、奥さんや本命の彼女とトラブルになった経験がある男性は40%に登ります(当社調べ)。その回避として、メールが消える設定にするわけですね。

これらは、当然ながら、ニーズがあったので発展してきたサービスです。ニーズ、あるいはシーズのないところにこのようなサービスは生まれません。

それにしても、ここまでして浮気をしたい男性がいるのでしょうか。いるのでしょうね。私には想像もできませんが、その領域に異常なエネルギーを使うことができる人がいるものです。

ちなみに、海外で異常な盛り上がりを見せていた「4chan」などもこの欲望を抑えたところにあると思います。ちなみに、この「4chan」を創出した若者はこれだけで莫大な財産を築いたそうです。収益はほとんど広告収入だそうですが。金持ちになる一歩は、他人の欲望を利用することからはじまるのでしょうね。

メディアは「エロ」によって進化する。その断末として政治問題があるのではないか。私はそのように感じています。


ぜひ、ついでにこちらも見てください!クリックして下さい。(→)無料で役立つ調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

mautic is open source marketing automation